Tom Clancy’s Ghost Recon: Future Soldier – これぞ接待ゲーム(1)

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Rainbow Sixと同じく、回を増す毎に違う方向へ進んでいくGhost Reconシリーズ最新作。共通のゲーム内容でリリースしてきたRainbow Sixと異なり、Ghost Reconは初代以降はPCとCSは別々のバージョンが作られ、住み分けがなされてきた。PC版のGRAWはGrinが担当し、ハードコアというか理不尽シューターとしてマゾヒストの嗜好を満たしてきたが、今回のFuture SoldierはCS版と同様であり、その趣が強い。GRAWは非常に楽しいシリーズだったが、そういう記憶は忘れ去り、Future Soldierは全く別のゲームとしてプレイした方が精神衛生上良いだろう。様変わりした内容に憤慨どころか、落胆して声も出ないレベルである。

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Ubisoftの近年の傾向として操作の自動化が挙げられる。わかりやすく言えば従来の複雑な操作を簡略化し、いかに凄いアクションを実現させるか。もっと砕けて言えばプレイヤーが何もしなくても凄いことをしているように思わせられるかである。Prince of Persia、Assassin’s Creed、Brothers in Armsを皮切りに、Rainbow Six:VegasにSplinter Cell Convictionと最新作ではいずれもその方向性で作られているといっていい。Future Soldierでもその影響は強く、Ghost Reconシリーズは人によっては面倒くさいと感じられる要素・・・つまり戦略性がウリだったわけだが、そういった部分が大幅に簡略化されるどころか、もはや省略されているといってもいいほどに様変わりしている。

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部隊指揮の自動化が一番に挙げられる点だろう。これまでは部隊の一人一人に命令を下すことも可能であったが今作では命令自体ができなくなり、仲間はプレイヤーに合わせて行動するようになっている。プレイヤーが敵に発見されない限り、光学迷彩のチート機能によって仲間が先に発見されることはない。GRではプレイヤーが仲間に乗り移って操作することが可能で自分の望むように部隊を動かせられるが手間がかかった。GRAWでは命令を個々に下せるといってもAIが自動で判断して望んでいない行動をしてしまい、そのせいでストレスを感じてしまう場面が多々あった。今作はストレスや面倒くささを解消している一方、Ghost Reconに大事な「部隊を操作している感じ」がかなり薄くなっている。

「部隊を操作している感じ」が無くなっているのではなく、なぜかなり薄くなっているレベルに留まっているのかと言えば、それはSync Shotによる一斉射撃システムによって、なんとなく「部隊を操作している感じ」は得られるからだ。このSync Shotというのは味方一人一人に狙撃対象を割り当て、一斉に射撃するシステムである。これまでにもGhost Reconでは一斉に射撃することができたが、それで思い通りに敵を殲滅させられるかと言えば難しく、プレイヤーの望んでいるようにはなかなかうまくいかなかった。今回は確実に敵を殺せる状態であればマークが付き、撃ち漏らす心配はない。射線が通らない場合はマークが付かないからだ。Sync Shotがキマった時の瞬間は気持ち良く、システムとしては合理的であり、確かに「部隊を操作している感じ」はなんとなく得られてしまう。

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今回の戦闘で主軸になるのは前述したSync Shotと光学迷彩によるステルスである。しゃがみ状態になれば自動的に光学迷彩モードになり、敵の近距離で真正面にいない限りは見つかることはなく、ステルスキルも容易に狙えるようになっている。ミッションの条件によっては「敵に発見されればNG」という場合もあり、従来に比べてステルス性が増したが、光学迷彩の機能が優秀すぎるので難易度自体は他のゲームに比べるとかなり低い。ハードコア理不尽シューターの面影はどこにもなく、光学迷彩とUAVで索敵してSync Shotでサクサク進められてしまう。

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Ghost Reconと言えば近未来の戦闘システムを導入しているのが特徴の一つ。GRAWでは米軍が推進しているLand Warrior計画の要素をいち早く取り入れ、説得力のある近未来戦を味わわせてくれた。今作ではFuture Soldierと銘打っているようにFuture Force Warrior計画を視野に入れつつ、近未来からさらに進んだ戦闘がコンセプトのようで光学迷彩から始まり、拡張現実、陸空変形可能なUAV、多脚自走戦車などの要素が取り入れられている。米軍がコストを度外視すれば有り得そうな要素の選び方が相変わらず良い(多脚自走戦車はちょっと無理やりすぎるが)。最新の機器を駆使して戦うのがGhost Reconであり、これらは別に良い。問題があるとすればペース配分だ。

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とにかく10分戦ったらムービー、10分戦ったらカットシーンとテンポが悪すぎてミッションに集中ができない。おまけにルートも一本道ばかりでGRAWの時のように考えながら進んでいく場面がなく、開発者の言う通りにやらさている感がものすごく強い。今回はSync Shotを使って下さい、今回はUAVを使って下さいという流れがミッション5あたりまで続き、ミッション6からようやくそれら全部を利用しながら戦えるようになる。

別にチュートリアルや説明をするのはいいのだが、ブツきりでテンポが悪くておまけにやりごたえのない短いミッションばかりなのがこのゲームの難点だろう。Rainbow Six:VegasとSplinter Cell ConvictionにGhost Reconの皮を被せたものでもいい、GRAWと違うのは理解したし、誰得なダイアモンドフォーメーションもそういうものだと割りきるし、システムに文句は言わない。特殊部隊ゲーを出してくれるだけありがたいが、ミッションの内容が最悪であり、思う存分に楽しませてくれない・・・というのがミッション6までの初感である。一体いくつミッションがあるのかしらないがここからやりごたえのある展開になってくれるのを祈る。特殊部隊ゲーなんてもうまともなものがないし、出てくれるだけありがたいんだけどなんでこういう風にしちゃうかなぁ。

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コメント

  1. >出てくれるだけありがたいんだけどなんでこういう風にしちゃうかなぁ
    ほんまにそうですね。
    全然満足なんか出来ないんだけど、そもそもジャンル自体が斜陽なのでUBI様に続編作っていただけるだけでありがたいコレシカナイ需要ですよね。
    R6もコンセプトムービーの時点でもうバリバリのアクションシューター臭しかしないし、同ブランドで同じような方向性のリブートばかりなのもどうかと思うんですが、メインストリームで本数を売っていくためには仕方がないんでしょうか。
    なんでもかんでもユーザーのご機嫌とりにお手軽で派手なゲームばかりになっていくので、刺激ばかり求めてもユーザーの飽きも早くなって結果的に誰も得しないのではないか、などといらぬ心配をしてしまいます。

  2. Sync Shotはいいシステムですけどムービー多用はきついんですよねえ

  3. DLCやシーズンパス商法が重要視されて、ユーザーが長く遊べる個性的なタイトルを・・・という流れになってくれるといいですね。
    あれから続きをやってみましたけど、相変わらずJRPG並のムービー攻撃でゲームに集中できません。
    チェックポイントで細かく区切りまくってるのも問題ですよねぇ。ある程度のリトライが必要な方がこちらとしては燃えるんですけど。
    じっくり考えながら30分くらいかけて攻略するミッションが出てくれることを祈ってます。

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